POS情報開示
スーパーマーケット、ドラッグストア、ホームセンターなどのチェーンストアが、POSレジから取得した自社店舗における商品販売情報を、商品仕入先である卸会社やメーカーなどに提供すること。2009年3月現在、日本全国で60以上のチェーンが開示を行っています。 自店の商品販売情報が競合する他店に伝わると、自店の強み・弱みを知られることになるため、競合相手を利することになりかねません。そのため、POS情報開示は、リスクを上回るメリットがあるとの判断のもとで行われます。 POS情報開示のメリットについては、MD共同研究をご参照ください。
MD共同研究
小売企業の取扱う膨大なアイテム数の商品に対し、そのひとつひとつの売れ行きを逐一監視し、MD(マーチャンダイジング。投入タイミング、価格、陳列、商品の組み合わせなどを総合した商品販売管理)の改善を随時行っていくにはバイヤー(小売企業担当者)の数が圧倒的に不足しています。
一方、小売企業に商品を提供する卸会社・メーカーの営業担当者には、より有効なMD提案を行うために小売企業の詳細な販売情報(POS)に基づく分析を行う動機があります。
そこで、小売企業は仕入先にPOS情報を提供し、商品の売れ行きの分析とそれに基づく販売計画立案、実施、結果検証までを仕入先と共同して行うことにより、MD改善を有効に推進することができます。小売企業と仕入先が協力して行うこの活動をMD共同研究(または単にMD研究)といいます。
MD共同研究ではPOS情報を利用できることが大前提ですが、それに加え、小売企業側のMD提案の受け入れ姿勢、組織的な実行体制を整えることが、仕入先との継続的な協力関係を構築するうえで重要となります。
チラシ分析
小売企業、チラシ制作会社、卸会社、メーカーなど流通上のポジションによりチラシに対する視点は次のように多様であり、分析手法も異なります。また、チラシ特売情報は、POS情報から標準販売数量(「動的販売数量予測」参照)を予測する際の精度にも関連します。
-
1.集客効果…小売企業の販促部門やチラシ企画会社が重視
- 1)企画やキャッチコピーは想定する顧客に対し訴求力があるか、折り込みのタイミングは適切か(企画分析・比較分析)
- 2)対象とする顧客のいる地域に適切に折り込み配布されているか(商圏分析・折り込みエリア分析)
-
2.売上効果…小売企業の商品本部、特売提供した卸会社が重視
- チラシ掲載されたことにより商品が金額・点数でどれだけ販売伸張したかを、競合店チラシの影響、価格弾力性、消費の先食いによる特売後のマイナス効果、収益貢献度など多角的に検証されます。
-
3.価格比較…主に卸会社・メーカーが重視
- 自社の取扱商品が地域や小売チェーンごとにどのような特売価格で販売されているかを他メーカーの競合商品の価格動向と合わせて比較します。
52週販促
季節や行事などに左右される消費動向に着目し、週単位で商品構成、売り場、チラシ企画などを管理する方法。四季がはっきりしており、暦に従ったライフスタイルが根強い日本独特の考え方で、さらに平日と土日を分けた104週販促という言葉もあります。
商圏地図
実際の顧客の住所情報を利用するか否かによりアプローチはふたつに大別されます。
-
1.実態商圏
- 注文書・契約書・会員登録などの方法で顧客の住所情報を取得し、来店履歴や買上動向などの属性と合わせて地図上に表示するもの。曜日・時間帯などによっても商圏は変化するため、店舗間や時系列での比較、各種統計情報・チラシ折り込みエリアとの重ね合わせなど複数の方法を組み合わせて、多角的に理解することが重要です。
-
2.想定商圏
-
顧客の住所情報が利用できない場合に、出店シミュレーションまたは既存店商圏のレビュー、ポスティングエリアの選定などのために統計情報と地理情報を組み合わせて特徴を見出すもの。
近年、利用できる統計情報の種類が大幅に増えてきており、単純な世帯数や人口などではなく、「15−20歳の子供のいる一戸建持ち家の世帯」など複数の条件を組み合わせて検証することができるようになっています。
RFM分析
MDが商品を対象とするのに対し、RFMは顧客を対象とした分析の代表的なものです。
顧客を「最近いつ来店したか(Recency)」「どのくらいの頻度で来店するか(Frequency)」「いくら購入したか(Monetary)」の3つの視点から分類し、それぞれの顧客層に対し異なる販促手法を用いることで、費用効果をあげることができます。
-
例えば 、
- 1)Mが上位の顧客のFが低下した場合、その得意客は流出傾向にあるので、来店喚起のDMを送る。
- 2)M、Fとも下位の顧客は「競合他店にとってのメイン顧客」なので、他店のセールタイミングに合わせてクーポンを送る。
- 3)ヘアサロンや歯科の定期健診などはRに基づき顧客を抽出し、リマインダーメールを送る。
動的販売数量予測(協力:株式会社ブライセン)
POS情報から、チラシ特売(競合他店チラシも含む)や店頭奉仕品などの販売イベントの影響を除去するとその商品または商品カテゴリの販売数量の標準化された期間推移傾向が得られます。 十分な情報をもとに適切な統計的な手法を用いることにより、高い精度で標準販売数量予測ができるようになってきています。 この販売数量予測値は、次のような店舗管理の各局面で大いに有効であり、POS情報の応用可能性のひとつとして注目されています。
-
1.自動発注における発注数量設定の緻密化
- 9月までに売れた「蚊取り線香」の数量に基づき10月の発注量が決まるのでは、当然売れ残りが生じ、持ち越し在庫が発生してしまいます。「蚊取り線香」は極端な例ですが、売れ行きに季節変動のある商品については、売れていても終売にするタイミング、売れていなくても在庫を厚くするタイミングがあります。 発注量・発注点が一定の「静的」な自動発注ではこのタイミングを取り入れることができず、担当者の手動操作に依存することになります。もともと省力化のための「自動」を一時的にしろ「手動」に戻し、さらに担当者ごとに異なる過去の売上データの「解釈」または「勘」によって発注数量が決定されると、在庫の過剰・過少が起きると不良在庫や販売機会逸失などのロスに結びつきかねません。 動的販売数量予値を用いると、手動による人手もかからず、また人の判断よりも高い水準で在庫の適正化が図れます。
- 2.在庫日数の適正化
- 動的販売数量予測値に基づき在庫管理を行うと、過少在庫、適正在庫、滞留在庫、不良在庫が明らかになり、発注調整、見切り処分タイミングの見極め、消費期限と照らした適正在庫数の導出などが行えます。
- 3.配送間隔の合理化
- 在庫日数の適正管理と納期日数を組み合わせることで、欠品を起こさない「まとめ発注・まとめ納品」が可能になり、物流コストや二酸化炭素排出の削減に寄与することができます。
- 4.販促効果の測定指標
- 販促効果は標準販売数量からのバラつきとして捉えることができ、客観的な効果測定・評価ができます。また、標準販売数量をベースにして、販売計画・販促計画を立案することもできます。
